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「君の名は」セカイ系の重力圏から逃れられない。 

「26日に公開され3日間の動員数は約95万9800人、興収は約12億7800万円とロケットスタートを切った。」ということで、巷で話題の「君の名は」を鑑賞してきました。
 
 -以下あらすじを公式サイトより抜粋-

 千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。
 山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
 町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
 小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。
 「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」
 そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
 見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。
 念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

 一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、奇妙な夢を見た。
 行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

 繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
 二人は気付く。
「私/俺たち、入れ替わってる!?」 

-あらすじここまで-

(以下ネタバレを多分に含みます。あと「君の名は」が大好きな人は読まない方がいいです)

「君の名は」、見た直後は良かったとTwitterで呟いてしまったのですが、その後思い返せば思い返すほど、脚本の杜撰さが気になって仕方がありませんでした。
 
主役の二人、三葉と瀧が突然の不可思議減少に翻弄されながらも、お互いのことを意識していく。ありがちな展開ながら序盤は導入としての役割を十分に果たし、夜空を流れる彗星を始めとした各種映像の美しさも素晴らしかったと思います。公式サイトで言及されている『意外な真実』には確かに驚かされましたし、そのままの流れでエンディングまで楽しく見れました。だからこそ見た直後は良かったと呟きました。

しかし、ちょっと待ってください!

こいつら三年間も時間がずれているのに気づかないとかありえないでしょ!?
外界から完全に隔絶された絶海の孤島にでも転送されたのか、お前らは!!!

二人のメインウェポンはスマホです。
カフェでケーキをパシャパシャと嬉しそうに写真に収めていたり、日記をつけていたり、LINEも普通に使っていました。
スマホでニュース記事を読みませんか? 新作ゲームをダウンロードしませんか? 音楽は? 動画サイトは?
etc、etc……

ありえなーい!

物語にリアリティが無いです。
超常現象が起こるのは「そういう話」だと受け入れられますが、物語にリアリティが無いのはダメです。

三年前に電車で偶然会った、なにやら電波なことを呟く女の子のリボンをずっと身に着けている男がいるか!?
作中ではなんかいい話のようにまとめられていましたけど、意味がわかりません。

クライマックスの避難誘導にしても言いたいことはあるぞ。
三葉と父親の歪な親子関係が何の解決されないまま、何の言及もなく、いつの間にか住民避難は完了していました。

おかしいでしょコレ!?

子供たちは親の説得に失敗し、住民の避難誘導は完遂できず、隕石によって一夜にして村は滅んだように見えましたよ、私には。
私だけが何か重要な伏線を見逃していたのでしょうか?
三葉の父親の変心を促す何かが作中で描かれていましたか?
脳内補完しろということでしょうか? 想像力の欠如でしょうか?

作中で描かれないことには描かれない意味があるのです、などという言い訳は聞きたくありません。
作中で描かれるべきことがスッパリと抜け落ちているのです。
現実問題、私がどこかで記憶をうっかりと落としてきた可能性のほうが高そうです。

そんなこんなでモヤモヤとした消化不良感だけが残ったわけですが、タイトルにした「セカイ系の重力圏から逃れられない」という話をまだしていないので、もう少しだけ続きます。

そもそもセカイ系って何ですか?
という話なんですが、彼と彼女と彼らの世界だけで世界が完結している話です。

はい、わけがわからないですね。

もう少し詳しくかみ砕いて説明すると、彼と彼女の近傍の世界だけが語られ、それ以外の世界はなんだか曖昧模糊としていて掴みどころの無い世界観を持つ作品群のことです。
乱暴な言い方をすると、私たちの世界のことはわかるけど、外の世界のことはよくわからないねー、という世界観です。

人によっては全然違うという人もいるでしょうが、私の中のイメージはそんな感じです。
(「イリヤの空、UFOの夏」「最終兵器彼女」「涼宮ハルヒの憂鬱」とか、あのあたりそんな感じでしょ?)

そういった構造を持つ作品として「君の名は」を見ると、非常にしっくりくるんですね。
彼と彼女の近傍の世界(=学園生活とバイト)だけが語られ、外界(=友人関係、バイトの先輩、時間のずれ、彗星、父親との軋轢)についてはほとんど語られません。
近傍世界のリアリティに比べ、外界のリアリティの希薄さが異常なんですよ。個人的にはハリボテで四方を囲まれているイメージを受けました。

周回遅れの話題(2000年前後くらいか?)なのでいまさらセカイ系かよ、という指摘はあろうかと思いますが、いまだに愚直にセカイ系をやっているのが「君の名は」という作品ですよ、ということを言いたかったので、その点については異論ありません。
ただ、それにしては、ずいぶん爽やかに表層を飾り立てることに成功しているなという印象を受けたので、爽やかセカイ系ストーリーと評しました。
一応、外界を描写しようとした形跡(ただし、成功しているとは言い難い)も見られましたし、それなりに良かったんじゃないですかね。

最後にまとめますと、あまりうだうだとつまらないことは考えず、映像と音楽の美しさを中心にその場のノリで楽しむのが吉ということになりそうです。

おしまい。
2016/09/03 02:52|感想TB:0CM:0
 
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